【追悼】三遊亭円楽さんのプレバト俳句

松の葉 テレビのはなし
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プレバト俳句に挑戦されている方の俳句を、おひとりずつまとめたいと思っていた矢先、訃報が届きました。

三遊亭円楽師匠のご冥福をお祈りしつつ、円楽さんらしい作品を並べてみました。



2017年6月15日放送 昇格試験のお題「雨の銀座」


チーママの 裾はしょりたる 梅雨の夜



添削なしでワンランク昇格!なんとこの結果に円楽師匠の目に涙!
フジモンさんから「めっちゃ泣いてますやん」のツッコミに浜ちゃんも大笑い。

円楽さんは「無駄に銀座で金使ってなかった」と会場をわかせました。


2018年9月27日放送 金秋戦 お題「秋の絶景」


秋の景色


老いてなほ 色変えぬ松 芸の道


当時間もなく迎える桂歌丸師匠の百箇日。
芸事の道は曲がりくねっているものだが、歌丸師匠はいつも一本気でまっすぐ歩いていた。
季語の「色変えぬ松」は、木々が紅葉したり落葉していく中で、美しい緑を保っている様を表した晩秋の季語。
その凛とした姿を桂歌丸師匠に重ねた追悼の句だったのだそうです。

夏井先生はその話しを聞き、さらなる素晴らしい句に添削してくれました。

色変えぬ松 高座にのこす 扇子かぜ一本



「落語家である」ということをもっと具体的に表現するため、「扇子(かぜ)」という言葉を用いたそうです。
添削がなされると皆さんから拍手がわきました。

浜ちゃんから「直されてどうですか?」と振られると、「これね、私の辞世の句にしよう」と、にこやかにおっしゃいました。


2018年10月18日放送 お題「運動会」


段雷だんらいに 靴紐きつく 秋の朝


「段雷(だんらい)」とは、運動会で「パンパンッ」となる花火のような空砲のこと。
その音を聞き「よし!行くぞ」と玄関で靴紐を締める。外へ出ると、秋晴れの青空が広がっている。
そんな様子を詠んだそうです。

2018年9月当時、初期の肺がんが見つかりましたが、その後治療を終え無事高座復帰。まさに直後の番組出演でした。

夏井先生は「きつく」という言葉で意気込みも感じられ、また「段雷」という言葉を調べ「あの音か!」とわかった瞬間にありありと光景が浮かんできた!と絶賛。


そして、夏井先生が選ぶ2018年月間優秀句の10月部門として、この句が選ばれました!



2018年12月20日放送 お題「こたつとみかん」

結露拭く コタツ列車の 窓の笑み



震災で途切れた線路も繋がって、こたつ列車に入りながらみかんを食べたりお酒を呑んだりわいわいする中で、窓の結露を拭いて外を見ると街並みも復興していっている。そんな光景に思わず笑みがこぼれた。そんな思いを込めた句だそうです。

夏井先生の査定としては少し要素を詰め込みすぎている点を指摘。

復興の町こたつ列車の結露拭く
 または
駅の小旗こたつ列車の結露拭く


良い句ではあるけど、いろいろやり方がある、と2パターンでの添削が行われました。


2019年10月10日放送 金秋戦予選 お題「冷蔵庫」


秋天に産廃の冷蔵庫 口を開け

金秋戦予選7位
添削

秋天に口開け 産廃冷蔵庫




2020年3月12日放送 春光戦予選 お題「絆創膏」


明くる朝 接木つぎきに孫の絆創膏ばんそうこう


春の季語の「接木(つぎき)」を子や孫につながっていく人生になぞらえ、孫が接ぎ木にかわいらしい絆創膏を貼っていた、という光景を詠んだ句だそうです。

「孫があちこちに絆創膏を貼る」という句は実はよく詠まれているそう。しかし、「接ぎ木に貼る」という発想がとても良いと評価。

添削でさらに映像が具体化されました!

接木には アンパンマンの絆創膏




2020年7月30日放送 炎帝戦予選 お題「アイスクリーム売り場」


氷壁ひょうへき崩落 白玉を掘り出す




かき氷の白玉を掘り出そうとしたら、氷がぼろぼろと。それを大げさに「氷壁崩落」という言葉で表現。「落語のオチ」のように落差をつけて遊んでみたとのこと。


夏井先生は「アイガーの北壁か、南極の氷山か。と思わせて最後に白玉。」「間合いが面白い」と評価。また上五下五のバランスも良かったとのこと。

梅沢さんも「粋だね!円楽師匠じゃないとこの句は詠めない」と、飄々とした円楽さんの句を楽しんだ様子でした。

予選を1位で勝ち抜けた句です!


2020年8月6日放送 炎帝戦決勝 お題「ポイントカード」


サングラス 外して探すカードかな


「サングラス」が夏の季語。
日常のワンシーンを切り取り、自身の老眼も面白おかしく表現。
夏井先生は、サングラス、とくればたいてい「かける」方に発想が向かうところ、「外す」という表現の仕方も評価。

炎帝戦決勝で見事3位に輝きました!


2021年6月10日放送 お題「雨宿り」


夕立や 尻っぱしょりを犬が追う


名人初段に昇格した句!
「尻っぱしょり(尻端折り)」は着物の後ろの裾を折り、帯に挟むこと。
江戸の風景画の雨の光景を詠み、季語をしっかり描けている。との評価でした。

この回ではお弟子さんの伊集院光さんもスタジオにいらっしゃったんですね。




2021年2月25日放送 お題「きのこの山」と「たけのこの里」


山里や 三橋美智也みはしみちやの春の歌


春光戦予選Dブロック第2位。
三橋美智也さんは、スナック菓子の「カ~ル」のCM曲を歌った方。

固有名詞は分からない方からすると全くイメージが湧かない句となってしまう難しい手法。
しかし季語はしっかり活かし、単純な作りだがうまくできていると評価。


2021年9月9日放送 お題「食欲の秋」


病院の 脂の抜けた蒸し


金秋戦Bブロックで惜しくも3位。自身の体験をもとに詠んだ句とのこと。



夏井先生の添削

病院や 油の抜けた蒸し秋刀魚




円楽さんのプレバト俳句の軌跡と闘病

円楽さんが俳句査定に初挑戦したのは2016年4月14日。初登場72点で1位を獲得し、特待生に昇格。
そこからは、タイトル戦の常連にもなり、名人への昇格も果たしました。

2019年7月に脳腫瘍、2020年11月には肺がんが再発しましたが、精力的に活動を続けていらっしゃったようです。
2022年1月には脳梗塞の為入院。その後はみなさんも知っての通りかと思います。


最後に

2022年10月6日のプレバトでは、最後に円楽さんの俳句をいくつか放送してくれました。

最後のカットは円楽師匠の笑顔と、夏井先生の「円楽さん、ほんとうまいよね」という力強い言葉が重ねられた演出でした。

「み仏の 指やわらかく 春の風」
「町会長 犬を預かる 盆踊り」
「塩鮭の 喋るが如き 売り子かな」
「銭湯で 花見の日取り 決まりけり」

すべての句を拾えなかったのですが、この数句を書いてるだけでもなんだかじんわり目頭が熱くなってしまいます。

同じ落語界をけん引する立川志らくさんや、2020年頃から台頭してきた春風亭昇吉さんとの愛ある毒舌バトル。それもプレバト俳句の名場面のひとつだったと思います。

また、タイトル戦では恒例の「夏井先生への賄賂」も恒例となりました。

そんなやり取りが見られなくなってしまったのは本当に残念ですが、円楽さんの作った俳句を今後も慈しみたいと思います。


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