2024年の金秋戦は予選会があり、たっぷり楽しめるのが嬉しい!
まずは9月12日にA・Bブロック、そして9月17日にCブロック、決勝の放送は10月4日!
予選1位は決勝進出確定、2位以下はA、B、Cブロックの中での優秀句を詠んだ2人が敗者復活として決勝に進めます!
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>>【プレバト俳句】今日の結果発表~!
予選Aブロック挑戦者
名人7段立川志らくさん
特待生1級馬場典子さん
特待生4級的場浩司さん
特待生3級こがけんさん
特待生5級水野真紀さん
予選Bブロック挑戦者
名人8段森口瑤子さん
名人6段皆藤愛子さん
特待生1級森迫永依さん
特待生3級春風亭昇吉さん
特待生3級柴田理恵さん
予選Cブロック挑戦者
名人10段中田喜子さん
名人9段キスマイ千賀さん
特待生1級犬山紙子さん
特待生2級武田鉄矢さん
特待生2級パックンさん
予選免除
特別永世名人梅沢富美男さん
永世名人千原ジュニアさん
永世名人フルポン村上さん
永世名人フジモンさん
永世名人キスマイ横尾さん
Cブロックと決勝は9月19日放送後にまとめます!
プレバト俳句2024金秋戦【予選Aブロック】結果 お題「一人飯」
金秋戦2024年【予選】Aブロック第1位→決勝進出!
特待生4級的場浩司さん
削げし頬 月下貪る パンの耳
夏井先生の評価
映画のワンシーンのような生々しい体験が流れ込んできましたね。なぜ削げているのか?この映像。事実だけを描写すれば伝わる、と。
またこの「貪る」という動詞の選び方も良かったですね。「削げし」と「貪る」が付かず離れず響きあいます。
最後は「パンの耳」という物を提示するだけ。それ以外の事を一切言わなくていい。これも、俳句の骨法が分かった人だからできることです。
あともう少し褒めさせてください。さりげないことなのですが、「頬」は人の部位、「耳」はパンの部分だけど、これも言葉の響き合いがあるんです。
プレバト俳句の名人・特待生の中で唯一、歳時記に句が掲載されているという的場さん!実力を存分に発揮されました!「この句、誰なんだろう?」と思っていたらあなただったんですね、お見事でした」と夏井先生から嬉しい評価をいただきました!
決勝進出おめでとうございます!
的場さんの行きつけの一人めしは、京都・烏丸丸太町の「白扇」という太秦にある食堂だそうです( ˘ω˘ )
金秋戦2024年【予選】Aブロック第2位→敗者復活戦へ
名人7段立川志らくさん
生きる為に飯を喰う 外は蛍
若いころに会った農家のおじさんが、生きる為だけに質素なごはんを食べる姿を目にし、外の蛍との対比が美しかった、という思い出詠まれたそうです!
観覧の中田喜子さんからは「”を”を取って、”飯喰う”にした方がカッコイイ」とのご指摘!夏井先生の評価はいかに?
\夏井先生の評価/
「生きる為に飯を喰う」というフレーズは、当たり前と言えば当たり前なんですけれども、「外は蛍」という着地で一気に詩にしてしまうんですよね。光景・場面・人物が立ち上がってくるでしょ?こうところ、本当にうまいですね。
ちょっと惜しいのが、私も中田さんの意見に賛成。足して17音にしたかったという意図は分かるのですが、もう自由律を得意とする志らくさんですから、ここはもう一歩踏み込んんでいいと思いますよ。
添削
生きる為に飯喰う 外は蛍
「こうするともっと力が入りませんか?これをやっていたら勝負が微妙に変わってたと思うんですけどね~。惜しかった」との評価でした!
金秋戦2024年【予選】Aブロック第3位→敗者復活戦へ
特待生4級こがけんさん
ソーキ煮の とろ火見ている 夜長かな
夏井先生の評価
「夜長」に「火」を取り合わせるのは確かにあるといえばあるんですが、「ソーキ煮」を持ってきたところにリアリティがありますね。「とろ火を見ている」というところは冗長な言い方ですが、実は「夜長」が出てきた時に、時間経過を表現する言葉なのだと意図がちゃんとわかりますから、決してこれもマイナス点にはならない。
そして最後「夜長」という季語をしみじみと詠嘆している、と。この辺の使い方うまいもんですねぇ。
「こがけんさんの吸収力は見事」と嬉しい評価!ですが、、なぜ3位に?というと、中田喜子さんもご指摘された「一人めし」というテーマ性のささやかな減点で、泣く泣く決めたとのことでした!
こがけんさんの行きつけの一人めしは、東京・経堂の「魚ケン」というクジラ肉が強いお店だそうです( ˘ω˘ )
金秋戦2024年【予選】Aブロック第4位→予選敗退…
特待生5級水野真紀さん
一人めし 半値太刀魚 喰むいざや
夏井先生の評価
目の付け所が面白いですね。「半値太刀魚」という言葉の響きも良いですね。ただ、読み手として考えた時に、「一人めし」で、ああ、ひとりで食べているんだな、と思ったら「半値太刀魚」が出てきて、お買い物かな?と思う。するとまた「喰む」でまた食べている情景、とこれでちょっと損しているかなぁと思います。
\添削/
半値なる 太刀魚ひとり 喰むいざや
または
半値なる 太刀魚ひとり いざ食まん
「惜しかったけれども、良い取材能力でしたよ」とお褒めでした!
水野真紀さんはリンガーハットが好きなのだそうです( ˘ω˘ )
金秋戦2024年【予選】Aブロック第5位→予選敗退…
特待生1級馬場典子さん
夜半の秋 ひとり味わう アルファ米
夏井先生の評価
季語の「夜半の秋」と「アルファ米」を取り合わせてくるって面白いと思いますね。
もったいないのは「味わう」。これは書かない方が得です。どういう気持ち、どんな夜にどんな私、どんなあなた?これが書けなくなってしまうんです、4音もあるから。「味わう」さえはずせば色々やれるんですよ。
\添削/
困憊や ひとり秋夜のアルファ米
または
お疲れさまアタシ ひとり秋夜のアルファ米
など
「上五をいろいろ変えられます」という添削でした!
馬場典子さんの行きつけの一人めしは、東京・月島の「Yakiniku名もなき各店へ一切入魂一枚売り焼肉」という変わった名のお店だそうです( ˘ω˘ )
プレバト俳句2024金秋戦【予選Bブロック】結果 お題「一人暮らし」
金秋戦2024年【予選】Bブロック第1位→決勝進出!
特待生1級森迫永依さん
薄めたシャンプー 朝冷のワンルーム
今まで親が管理してくれていたシャンプーも、一人暮らしになって切らしてしまったという体験を詠んだそうです。
夏井先生の評価
まさに一人暮らしのあるある、リアリティですね。一人、とは書いていませんが、一人暮らしに違いないと、ちゃんと言葉の裏側に見せてくれています。そこが巧いですね。
シャンプーを薄めた体験をしたことのある人なら、なんだか少し情けないような気持ちをみんな実感いたしますよね。
そして「朝冷」という季語も良かったですね。「朝寒」という季語もあるんですが、これだとちょっと冬の寒さに近くなってしまうんです。「朝冷」だと、秋の真ん中あたりの、ちょっと冷えてきたという感じ。
あと「朝」という情報も大事ですよね。朝の慌ただしい時間も想像できる。
8音と10音、結果的には字余りの俳句になりますけど、これがこの句の内容とちゃんと手を取り合っていますから、その判断も良し、といたしましょう。
森迫さん強し!
金秋戦2024年【予選】Bブロック第2位→敗者復活戦へ
名人8段森口瑤子さん
空の巣症候群のような 夜長
お子さんが数年前に一人暮らしを始めて、空の巣症候群のようになった時や、昔ご自身が一人暮らしをした時に、夜の持て余すような長さみたいなものを入れてみたとのこと!
フジモンさんから「季語を比喩するってあんまり見た事ない」との感想。フジモンさん、やっぱり名人だけあって色々知識豊富ですね~
夏井先生の評価
まさに大胆な比喩ですよね。「夜長」という季語を、残りのフレーズで比喩しているだけなんです。でもそこに、独自性・真実味がちゃんと入っている。
こんなことするのは誰だろう?と楽しみにしておりました。
しかも、テーマ「一人暮らし」に対して、お子さんが一人暮らしをした時の親の気持ちという切り取り方・発想でくるとは思ってもいませんでした。
喪失体験、寂しさを「夜長」と言われた瞬間に、作者からの気持ちをどっしりと読み手が心で受け止めるような、そんな一句でした。
直しなし!「面白いことやってくれますね~」と夏井先生に関心された句でした!
決勝に行ってほしい~
金秋戦2024年【予選】Bブロック第3位→敗者復活戦へ
特待生3級柴田理恵さん
今日よりは ひとり分なり 秋の風
夏井先生の評価
大変シンプルな書き方なんですけれども、心に沁みる句ですね。丁寧に書いていらっしゃいます。特に「よりは」という表現に苦心なさったかもしれませんが。
「よりは」という言い方で、決して”亡くなった”という別れではなくて急に同居人がいなくなったとか、そういうサバサバしたとか、そういう方向の「今日よりは」なんだろうな、と伝わってくるんですよね。
もう一つ良いのは「なり」と言い切ったこと。炊くごはんも一人分、洗濯物も一人分、「あ~、清々した」という気分をこの「なり」で表現しています。
ですが「秋の風」ですよ。この季語にあとは全部託す。そうすると、清々はしているんだけど、やはりどこか寂しい、自分の身体の一部がちょっと無くなっているかのような。
言いたいことは全部季語に託す、これが俳句という物なのです。
今回5年ぶりのプレバトという柴田理恵さん、直しなし!
中田喜子さんも柴田さんの句を覚えているといった作品、わたくしも強く記憶に残っています!
2019年3月7日の柴田さんの作品
「犯人逮捕」 干鱈を毟る 母の黙
敗者復活で決勝に行ってほしいな~
金秋戦2024年【予選】Bブロック第4位→予選敗退…
名人6段皆藤愛子さん
のろのろと 包帯広げ 干す秋夜
夏井先生の評価
何かケガをなさって自分で洗っている。「一人」という事は書いてないけれども、「のろのろと」「広げ干す」という動作をやっている、ひょっとしたら一人暮らしで心細いのかもしれない。そう読んでほしいという流れを一生懸命作っていらっしゃる。
そうなった時、最後季語の音数が3音しかないので苦心したと思うんですが、「秋夜」は良い選択をなさったと思います。心地良いのだけどやっぱり寂しい、という頼りない感じなんかもこの中に入っています。
なぜ4位に沈んでしまったかという理由として「読みようによっては介護の光景の可能性もあるという事で、テーマ性というところでちょっと損をした」とのこと。
それでも「これはこれで良い句」ということで添削なしでした!
Bブロック、激戦区です!
金秋戦2024年【予選】Bブロック第5位→予選敗退…
特待生3級春風亭昇吉さん
母からの手紙 無月の段ボール
夏井先生の評価
決して悪い句ではないですよ。季語の使い方もとても良いですね。しかもこの位置に季語を持ってくる。ただの段ボールではなく、無月のその日に届いた段ボールなのだと。
中秋の名月の日だけど、今日は月が出ていない。でもひょっとすると母の暮らす故郷では、綺麗な中秋の満月が出ているのかもしれない。そしてその手紙を読み始める。
ドラマもありますし、「一人暮らし」というテーマも押さえている。
ただ、故郷の母から荷物が来て、手紙が入っている、という句はかなりの数があります。
順位、となった時に最後の類想感が邪魔をしてしまった。
「他の人が考えるかもしれない、ということも考えないといけないんですね?」と言う昇吉さんに「俳句において、類想・類句というのは一番大きな壁なんです。今の発言でマイナス1ポイント」と夏井先生からお叱りを受けてしまいました(;^_^A
次回は予選Cブロックの結果です!
プレバト俳句2024金秋戦【予選Cブロック】お題「一人旅」
放送までお待ちくださいませ🙇
金秋戦2024年【予選】Cブロック第1位→決勝進出!
名人9段キスマイ千賀さん
清秋や 海にマンタといるしじま
「清秋」は、秋の澄み切った大気のこと、「しじま」は、静まり返っている様子だそうです。
夏井先生の評価
まずは上五の季語の詠嘆が清々しいですね。澄んだ秋を表現する季語は他にもたくさんあるんだけれども、あえてこの「清い秋」を選んだということは、中七下五との関係もでてくるわけです。
「清秋や」のあとに「海」とくると、秋の澄んだ海の色がちゃんと伝わってきます。
この句を全部読み切った時に、どこにも「ひとり」なんて書いてないんですけれども、この空間の中には、「一人」そして「旅先」での出来事に違いないということがパッキングされていますよね。
マンタとだけの空間をしみじみと楽しんでいる、もしかしたらマンタに会うためにこの海に来たのではないか、とそんな風にも読めますね。
「大きな体験を、この季語を信じてやれるようになっている。これを詠んだのが千賀さんだと分かったら、成長だなぁと思います」と唸るような夏井先生でした!
千賀さんのホームランがでました!
金秋戦2024年【予選】Cブロック第2位→敗者復活へ
名人10段中田喜子さん
ひとすじの秋水 ひとり旅とどめ
「秋水」とは、秋の澄み切った水のことだそうです。
ひとり旅は危ない、と言われながらもどうしても秋の蓼科に行きたかった中田さん。
散策をしていると、どこからか流れてきた水に不安を感じて、思わず引き返したという句だそうです。
夏井先生の評価
ご本人の説明と、文字面の間に隙間があるという事を認識したんですが、この句だけ見たら綺麗な句ですよ?一筋の澄んだ秋の水が流れている、そしてこの美しいひとり旅を私は胸にとどめて旅を終えましょう、という解釈でこの順位にしたのですが……ちょっと違ってたね。
中田さん、喋らなければ良かったんですよ。中田さんが思ったことを表すとしたら……
\添削/
ひとすじの秋水 ひとり旅の果て
大本命が第2位!果たして敗者復活できるのでしょうか⁉
金秋戦2024年【予選】Cブロック第3位→敗者復活へ
特待生1級犬山紙子さん
月白や 温泉にいる 吾と腫瘍
犬山さん、なんと今度手術をするそうです(>_<)大した手術ではないとはおっしゃいますが、心配ですね……。
腫瘍を体の中に持ちながらも、ほんわかした月を見ながら温泉の中でリラックスする、という気持ちを詠んだそうです。
横尾さんからは「にいる」が説明になってしまうから他の3音に変えた方が、というご指摘もありましたが、犬山さんは「自分も腫瘍もここにいる」ということから、あえて入れたそうです。
夏井先生の評価
まずこの「月白」という季語、これは山の向こうに月があって、山の端がほんのり明るんでいることを言うんです。この季語が内容に寄り添っているし、季語が主役になっています。良い季語を選ばれましたね。
そして、自分の中の病気というものを詠む時というのはなかなか冷静になりにくいんですが、それを淡々と詠んでいらっしゃる。その姿勢も俳人だなぁ、と思います。
じゃあ問題はなにか、これはもう「にいる」。ご本人はわざと入れたとのことですが、そのわざとが大体失敗するんですよねぇ。
もうひとつ、今回「びとり旅」というテーマがあるので、旅のニュアンスを少しいれてもいいんじゃないかと思いました。
\添削/
月白や 旅の湯に吾と吾が腫瘍
添削しながら「『吾と腫瘍』と並列しているところがとても良い、腫瘍をひとつの存在として表現いるのがすごいと思います」とお褒めの言葉。
俳人だ、と認められた犬山さんを見てなんだか泣きそうになってしまいました(´;ω;‘)素晴らしいです!
金秋戦2024年【予選】Cブロック第4位→予選敗退…
特待生2級武田鉄矢さん
山の宿 昭和のままの 虫の闇
フジモンさん「ままの」は要らないんじゃ?千賀さん「ままの、が説明っぽくなる」と名人お二人からののご指摘……。
夏井先生の評価
表現したい内容に、トーンの似合った言葉が選ばれているのは良く考えていらっしゃる。
じゃあどこが気になるかというと「ままの」。ここが引っかかります。
ご本人のお話しの中に、良い言葉がありましたよ。「ままの」を「色の」に変えるだけで、説明ではなく映像にぐっと近寄ります。
あともうひとつ、山の宿でも良いんですが、「や」で切った方が締まるんです。
\添削/
山の宿 昭和の色の 虫の闇
または
山宿や 昭和の色の 虫の闇
特待生最年長の武田鉄矢さん、残念ながら予選敗退となってしまいました……(>_<)
金秋戦2024年【予選】Cブロック第5位→予選敗退…
特待生2級パックンさん
退職金一括 金秋の四季島
「四季島」は、東日本を走る全席スイートルームの列車。これに乗るのがパックンさんの夢なんだそうです!
夏井先生の評価
発想を飛ばそうとしていることや、「金秋」という季語の選択は悪くないんですが、読んでいくと退職金で島を買ったのかと思いましたよ。
「一括」の使い方を間違ってしまった、これに尽きますね。
\添削/
退職の旅よ 金秋の四季島
ハーバード大学卒業のパックンさん、久々の登場も予選敗退となってしまいました!
プレバト俳句2024金秋戦【敗者復活は?】
敗者復活に回ったのは、
Aブロック・・・2位立川志らくさん、3位こがけんさん
Bブロック・・・2位森口瑤子さん、3位柴田理恵さん
Cブロック・・・2位中田喜子さん、3位犬山紙子さん
以上の6名でした。
この中から優秀な句を詠んだ2名が決勝進出となります!
その結果、立川志らくさんと森口瑤子さんが決勝進出となりました!
プレバト俳句2024金秋戦【決勝】結果 お題「スマホの写真」
決勝結果はしばらくお待ちくださいませ🙇
決勝のお題は、自身で撮った写真で一句だそうです!
予選免除
特別永世名人梅沢富美男さん
永世名人千原ジュニアさん
永世名人フルポン村上さん
永世名人フジモンさん
永世名人キスマイ横尾さん
予選通過は各ブロック第1位獲得の3名と、2位3位の中から優秀句を詠んだ2名が予選通過となりました
Aブロック第1位通過
特待生4級的場浩司さん
Bブロック第1位通過
特待生1級森迫永依さん
Cブロック第1位通過
名人9段キスマイ千賀さん
Aブロック敗者復活
名人7段立川志らくさん
Bブロック敗者復活
名人8段森口瑤子さん
金秋戦2024年【決勝】第1位
特待生4級的場浩司さん
「島根県・隠岐諸島」で一句
三日月や 真朱の隠岐に 藍の波
真朱:混じりけのない朱色を表す古い言葉
夏井先生の評価
隠岐というのはかつて、流刑の場所という歴史があり、「真朱」「藍」というのは伝統的な色のひとつですね。
こういう美意識というのが、この句のそれぞれの言葉の中に入っているけど、破綻せずに言葉だけでスケッチがさらりとできる。これは大したものだと褒めなくてはいけない。
浜ちゃんから「1位なのでこれは直しは?」と聞かれると「一言一句、置くべき位置に選び抜かれた言葉が置かれております」という素晴らしい評価をされた夏井先生でした!
プレバトタイトル戦の優勝を「死ぬまでに叶えたい夢」とおっしゃっていた的場さん!名だたる強者たちを抑えて、特待生3級での大下剋上をやってのけました!すごい!
金秋戦2024年【決勝】第2位
名人9段キスマイ千賀さん
「宮古島の星空」で一句
灯台の周期 星月夜の無辺
「星月夜」はゴッホの絵から着想を得たそうです
夏井先生の評価
「灯台の何々」「星月夜の何々」という対句表現になっていますね。この型に関しては千賀さん、ばっちり出来るようになっていますね。
灯台は人工の光が一定の光を放ちます。そして星月夜は宇宙と繋がる広大な自然、何億光年の光を放っている、と。この辺の対比も良いと思います。
では1位と比較してさあどうか。やっぱり損をしたのは「無辺」でしょうかね。どうもこれは他の言葉が思い浮かばず、ひとまずこれでやってみるか、という消極的な感じがしてしまうんですね。
広さ、という方向にしなければ、この句が1位になっていた可能性もありました。
金秋戦2024年【決勝】第3位
永世名人フルポン村上さん
「ベビーサークル」で一句
長き夜や 絵本の丸き 角を拭く
夏井先生の評価
「絵本の丸き角を拭く」だけだったら、幼稚園や保育所の光景の可能性もありますが、「長き夜」なので家庭のことを詠んでいるに違いない。自分の言いたいことをちゃんと誘導できているのは大したものですね。
じゃあなんで、3位なのか。「絵本」と「長き夜」の取り合わせが多少ありがちかな。「絵本」を「拭いている」というところはとても工夫しているので、取り合わせの類想感が1位、2位に対して弱くなってしまうんです。
5年2か月ぶりの優勝とはならず……!
金秋戦2024年【決勝】第4位
永世名人FUJIWARAフジモンさん
「八百屋さん」で一句
銀杏の実 剥き終へ自由になる 十指
夏井先生の評価
まず季語の話しなんですが、「銀杏の実」としたのは私は好意的に解釈しました。「ぎんなん剝き終え」としたらいいのに、わざわざ「いちょうの実」としたのは、あの木に成っていた一粒一粒がいまこのぎんなんになっている、ということを意識して表現しようとしたに違いないと信じきっておりました。
そしてもう一点「自由に」の「に」。意味のうえではおっしゃる通りなんですが、「自由なる」の方が臨場感が高くなります。
金秋戦2024年【決勝】第5位
永世名人キスマイ横尾さん
「スカジャン」で一句
外苑はさやか 孤食のカチョエペペ
カチョエペペ:胡椒とチーズだけのシンプルなパスタ
夏井先生の評価
頭からみていくと、さわやかな秋の光景と「カチョエペペ」という音のおもしろさの響き合いは良いと思います。
ここから評価が分かれるのは「孤食」。楽しい光景にあえて、と思うか、まったく楽しい様子が伝わらないのではないか。
\添削/
外苑はさやか 一人のカチョエペペ
このように直すと楽しんでる感はでます。ですが「孤食」という言葉にこだわりがあって使ったのかもしれない。そうなった時に順位はこれくらいになってしまうという事です。
「カチョエペペ」という言葉を「カッコつけました」と白状した横尾さんでした~
金秋戦2024年【決勝】第6位
名人7段立川志らくさん
「夕焼け」で一句
師が逝き ひぐらし号泣しております
師匠の立川談志さんがお亡くなりになった時の事を詠んだそうです
夏井先生の評価
「ひぐらし」が静かにカナカナ鳴くのに対して「号泣」というのは少し強引と感じる読者は少なからずいるのではないか。
\添削/
しずかなる号泣 ひぐらしに逝きぬ
金秋戦2024年【決勝】第7位
特待生1級森迫永依さん
「インドネシア・カリマンタン島」で一句
待宵のジャングル 細切れのラジオ
待宵:中秋の名月の前の秋の季語
夏井先生の評価
実はこの句は、本当はちょっとした工夫で3位が獲れる句だったんです。
どこが損してるかというと「ジャングル」で使っている「ラジオ」ですから、電波が細切れというのは「そりゃそうよね」という因果関係がでてきてしまうんですよね。
例えば同じ「ブツブツ聞こえてくる」ところを「瀕死なる」とか「盗難の」とか、やれることはあったんです。
昨年の王者が陥落です(>_<)
金秋戦2024年【決勝】第8位
永世名人千原ジュニアさん
「稲穂と合掌造り」で一句
稲穂波 合掌屋根を 登りけり
夏井先生の評価
表現したいことは想像できます。風に吹かれた稲穂の波が、その奥にある合掌造りの屋根に届いて吹きあがっているんじゃないか、と。ただ、書き方で損をしている。
合掌造りの屋根のアップから引いていきましょうか。
合掌の屋根を登らむ 稲穂波
金秋戦2024年【決勝】第9位
特別永世名人梅沢富美男さん
「劇場」で一句
芝居小屋 奈落の闇を 虫時雨
虫時雨:辺り一面に鳴きしきる虫の鳴き声のことを時雨の音になぞらえた言葉
夏井先生の評価
「奈落」とあれば「闇」は要らないだろう、と皆さんのおっしゃる通り。「芝居小屋」と書いてしまうと、今まさに芝居をしている、と思ってしまう人もいるので、「終わってる」とはっきり押さえたほうが得でしょうね。
\添削/
芝居果てし 奈落の土間や 虫の闇
金秋戦2024年【決勝】第10位
名人8段森口瑤子さん
「行き止まり」で一句
方向音痴ぐるぐる ぐるぐる秋思
夏井先生の評価
意図は分かるんですよね。でも分かりすぎるというところで損をしたというんでしょうかね。
\添削/
行く方を失い ぐるぐるぐる秋思
「行く方」は、進んでいく方向という意味と、心を晴れやかにする方法のこと。こうすると、進んでいく方向を失いつつ、心を晴らす方法も失ってしまっている。ここに二つの意味がかかるだけで詩というものに舵取りができます。
森口瑤子さんは写真を撮るのが苦手だそうで、今回のお題に苦戦したそうです!また次回に期待です!
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